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ここにきて「軍師官兵衛」の話





小谷野の移籍も決まり、やっと一段落したので野球とは関係ない話でも。
本当はオールスター前後に書こうと思っていたんですが、書いちゃ消し、書いちゃ消しして、けっきょくこの時期になってしまった「軍師官兵衛」の話。


ずっと見てきましたけど、意外と良い方の大河ではないでしょうか。
ただ、もったいないなと思う事は多々あります。


ドラマ第1話、官兵衛が小田原城城門前で言う印象的なセリフ
「生きられよ」
これがこのドラマのメインテーマです。

人が殺し合い、国が滅ぶ戦国の時代で、生きる事、生かす事、生き残る事を考え続けた官兵衛。
荒木村重に捕まり、石牢に入れられても生きる事を考え、決して諦めない官兵衛は、流されやすく、すぐに諦める私のような人間にとって考えさせられるキャラクターです。
それだけに、もったいない演出が多く、もっと良くなるのにと思わせるドラマでもあるんですよねぇ。


まず「生きろ」という主題を輝かせるには、「死」というものを強く描かなければこちらに伝わってきませんよね。
戦争や内戦の本当の悲惨さを知らないのに、話し合えば分かり合えるとか、争いは愚かな人がする事なんて言ったところで説得力は無いんです。
人が死ぬという事はどれだけ悲しいのかを強く描くほど、官兵衛の「生きろ」が見てるものに強く突き刺さるんです。
なのでこの大河は近年では珍しく、血が飛び散るという表現方法を多く使っています。
これやっちゃうと女性の視聴者が離れていくんですが、そこはうまくバランスを取ってやってます。
がしかし、人が多く死ぬ戦の場面を、このドラマはスポーンとすっ飛ばすんですよね。
歴史上で重要な戦いであろうがバンバン飛ばす。
これでは戦いの悲惨さが伝わってきませんよ。
大掛かりな戦のシーンは描かなくとも、悲惨な状況だったり、大変なことが起きているという事を、視聴者にわからせる演出は絶対にいりますよ。


そして戦のシーンを描かない事が、このドラマのいちばんの売りをぶっ壊します。
だってこのドラマの題名は「軍師官兵衛」ですよ。
軍師なんです。
戦で作戦を立てるのが軍師です。
官兵衛の売りはそこじゃないですか。
驚くような読みの鋭さを魅せつけるから、秀吉に警戒されるんですよ。
それがこのドラマでは「罠だ・・・」とか「相手はこう来るでしょう」とか言うだけ。
これじゃあ官兵衛がどれだけすごいのかがいまいち伝わりませんよ。

まず視聴者に、相手がどれだけ危険なのか、どれだけ怖いのかを描く。
そうする事で、視聴者に緊張感を持たせます。
どうしても歴史の教科書に書かれてる、何々をしたから勝ったという情報がジャマをして、戦そのものの緊張感がこういったドラマでは表現しきれていないと思います。
みんな必死で戦っていたはずなのに、信長が三段撃ちを考案したから勝ったとか、徳川が小早川秀秋の陣に鉄砲を打ちかけたから勝ったんだよとか、ひとつの出来事でケガ人も出さずに大勝利したような印象を持ってる人が多い。
でも戦いってそんな単純に決まるわけじゃない。
こっちも考えれば向こうも考えているわけだし、ひとつの戦法だけでゴリ押ししてるわけじゃない。
優勢な戦場もあれば不利な戦場もある。
名を馳せた大名であれば、周りを固めるブレーンも、それ相応の強さは持っていますから、そう簡単に倒せるものじゃない。
しかし、そういった不利な状況や、強烈な敵将を策で絡めとり、勝ちを拾っていく官兵衛を見て、緊張感から開放された視聴者は「かっこいい」「すごい」と思うわけでしょ。
だって「軍師官兵衛」なんだから。
軍師として輝かないと。
だから戦のシーンはもっと丁寧に描くべきだと思ったんですよねぇ。


それと、秀吉との確執の描き方ってどうなのって感じがします。
最初の頃は兄弟とまで言って、お互いがお互いを認め合い、必用としていた2人。
それが秀吉の地位向上と共に、お互いの間の溝がどんどん深まっていくんですが、視聴者の人にはどこまで伝わっているんだろうと思います。
たぶん、いきなり秀吉が官兵衛に冷たくなってしまい、変なおやじになったと見た人も多いんじゃないでしょうか。

この2人の対立は、信長が謀反により討ち死にしたというのを聞いて、官兵衛が「殿のご運が開けましたぞ」と笑いながら秀吉に言うシーンから始まります。
官兵衛役の岡田准一が笑いながら言うと、秀吉役の竹中直人が目を見開いて口開けながらたじろぐという演出を見ると、監督も私と同じ事を考えているんだろうなぁというのがわかりました。
要するに、信長というカリスマを失い、どうしていいのかわからずにたじろいでいると、天下への道が開けたと笑いながら言ってきた官兵衛を見た秀吉は、そんな先まで読んでいるのかという驚きと、この状況でそんな事を考えているのかという恐怖とが入り混じった感情を持ったというのを「たじろぐ」という表現を使って視聴者に見せたと思うので。

であるならば、ここから官兵衛と秀吉のすれ違いというのをもっと細やかに演出していかなければならなかったのではないかと思います。
官兵衛は秀吉を天下人にして、世の中を平和にしようと働く。
秀吉も官兵衛を頼りとし、天下人に駆け上がっていくけれども、常にあの備中の夜に見た官兵衛の恐ろしい顔が忘れられない。
信頼しているはずなのに、怖くてしょうがない。
いつか自分も寝首をかかれるのではないかという思いが、偉くなればなるほど強まっていく。
でも官兵衛を信頼している自分もいる。
この秀吉の心の葛藤にスルッと入ってくる石田三成と茶々。
そしてついに・・・という演出がしっかり描かれるべきと思うのですが、実際はというと、天下人になってどんどん不遜になる秀吉。
三成と茶々の話は素直に受け入れるのに、他の話は一切信用しない利用されるだけの存在。
あの一件から、人を信用できなくなっていったというのを描いてないから、突然人が変わったように見える。
竹中直人のコミカルな演技に加え、三成と茶々の陰湿キャラが合わさるものだから、利用されるだけのスケベジジイにしか見えない。
これはもったいないですよ。


それと信長役の江口洋介もなぁ。
やはり信長といえば何を考えているかわからない怖い存在のはずなんですが、やっぱり江口洋介はどこまでいっても「あんちゃん」なんですよね。
怖さが無い。
江口演じる信長が、このあいだ仲間由紀恵と結婚した田中哲司演じる荒木村重に、刀の先に刺したまんじゅうを差し出して、それを荒木村重が震えながら食べるという有名なシーンがあるのですが、これが全然怖くない。
だってあんちゃんはそんな事しないもの~。( ̄▽ ̄)
人の良さがにじみ出てる江口には向かない演出でした。
今なら例えば山田孝之が信長役で同じ演出をやったら、ブッスリいくんじゃねぇかって怖さはありますよ。
でも江口洋介にその怖さが・・・。
例えば視聴者に恐怖感を持たせたいのであれば、その村重とのやりとりの前に、同じ状況で信長が顔色一つ変えずにぶっ刺すというのを入れていたら、もっと怖かったと思います。

捕虜でも間者でもいいのですが、縄でくくられて連れられてきたものに対し、刀の先に刺したまんじゅうを食えと言う信長。
それを拒み、信長に対し罵詈雑言を浴びせる敵方の男。
では俺が食わせてやろうと言う信長。
またかという顔をして、目をそむける家臣たち。
無表情な信長のバストアップが映り続けますが、くぐもった声を出す男と、腕を前にゆっくり突き出す信長。
これくらいショッキングに信長を描くと、あのまんじゅうのシーンも緊張感があってよかったのにと思いますねぇ。
というのも荒木村重は、信長を必要以上に恐れてノイローゼ気味になり、謀反を起こし、それが元で官兵衛が幽閉されるという大事なシーンにつながっていくストーリーですから、絶対に信長に対する村重の恐怖というものを強烈に描く必要があるんです。
偏見かもしれませんが、やっぱり江口信長は怖くないんだよなぁ~。


他にも色々書きたいのですが、全体的に見て最初に書いたとおり、良い方の大河だと思います。
それだけにもっと良くなるのにと思ってしまうので、ここまで愚痴が出るんですけどね。

これから歴史好きにはよく知られた、あまり知らない人には「えぇ!関ヶ原の裏でそんな事が!」というのが描かれていくでしょう。
しっかり締めて、「生きる」という言葉を強く印象づけて終わってほしいなと思います。


あぁ、来年は見る事がほとんど無い大河になるんだろうなぁ。



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コンサどん

Author:コンサどん
スポーツが大好きな44歳(旭川・男)
おっさんの仲間入りを果たし、ちょっとうれしく思う道民です。

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